起・承・転・結 Self Novel
「男と女」をテーマにしたNovel Blogです。日常のどこにでもありそうな「等身大」をテーマにした老若男女が織りなすドラマをオリジナル小説で。

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等身大の陰 4月

千秋はびっくりした。
「えっ!なんで・・」
何故元上司の車が自分の家の前にあるのか。
今さっき別れた哲平の事などどこかへいってしまって、千秋はとっさに駆けだしていた。
とにかくその場から逃げ出したかった。

気がつくと千秋は、同僚のミナの家へきていた。
ミナは会社では唯一、過去の不倫の事を相談した友達で、それに哲平との事もなとなく感づいている
からだ。

「ごめんねミナ、こんな時間に突然・・」
「そなとこ突っ立ってないで、さぁ入んなさいよ」
ミナは突然の訪問にもかかわらず理由も聞かないで、優しく接してくれた。
「外寒かったでしょ、今暖っかいミルク入れるね」
「うん、ありがとう・・」
 千秋は、何も理由も聞かずにただ千秋を受け入れてくれたミナを見ていると何だかナミダが出てそうだった。

ミナが入れてくれたミルクは千秋の心まで温かくしてくれた。
落ち着いた頃、千秋は哲平との事、今日あった事など全て話した。
一通り話しを聞いたミナが口を開いた。
「で、千秋はどうしたいの?」
「どうしていいか分からない・・・、ただあの上司とはもう昔のような関係にはなりたくない」
「だから?」
「だから・・・・」
「だから千秋はだめなんだよ。もっとしっかりしなきゃ。もっと自分を大切にして、思った通りに行動するようにしないと」
「・・・・・そうね・・」
「あのさ千秋、私達もうすぐ三十路だよ。いつまでも男に振り回されるような歳じゃないよ。
もうこのへんで、自分の足で歩いて行かなきゃ、いつまでたっても「男次第の女」になってしまうじゃない。ネ!自立したイイ女になろうよ・・お互い!」と言ってミナはニッコリと笑った。
 千秋はミナと話して、何か霧が晴れたような、目の前が明るくなったような気がしてきた。

あの上司の事にしても、自分の心のどこかに微かでも「まだ繋がっていたい」という気持ちがあったから、なかなか踏ん切りがつかなかったのも事実だ。
哲平の事にしても、確かに好きだ、それは紛れもない正直な気持ちだ。でもこのままじゃ哲平の人生に乗っかてるだけ。
 千秋は今まで自分の足で歩いてきたつもりでも、結局いつも男に委ねてきた事をミナと話して気づいた。

そして千秋は決心したのだった・・・。



等身大の影 vol.4b

1月はあっという間に過ぎ、2月に入いりいよいよバレンタインデー。
色々考えたが千秋は最初のバレンタインはオーソドックスに手作りのチョコレートを渡す事に決めていた。ハート型だが少し大人の味のビターチョコだった。
 朝出勤して哲平の部署へ行くと、夜勤の人に急病が出た為、哲平が急遽夜のシフトになったと聞いた千秋は、手渡し出来ずに残念だったが、手紙をチョコレートに添え哲平のロッカーに入れておいた。
 哲平と出会えた事、クリスマスの夜の事、自分が今すごく充実した気持ちでいることなど
素直な気持ちでありののまま綴った手紙と一緒に・・。
夜哲平から「チョコと手紙ありがとう。 俺も千秋と同じ気持ちだよ。
ホワイトデーをお楽しみに!」とメールが届いた。
学生時代に戻ったようで「こんなワクワクしたのは久しぶり」と千秋は少々うれしくなった。
 少し物足りないバレンタインだったが、千秋は幸せな気持ちで一杯だった・・。


 3月に入りいよいよ今日は14日、そうホワイトデー。
「今日は俺がご招待するよ、とっておきの店でネ」と哲平に言われ千秋は「うん、楽しみにしてるね」と仕事もそぞろになるほど夜が待ち遠しかった。 

・・・・二人が行ったのは意外にも哲平が良く行く「定食屋」だった。
店は会社帰りのサラリーマンや、学生などで結構混んでいた。
呆気にとられた顔していた千秋を見て、
「ホワイトデーなのに、もっとロマンチックな店の方がよかった?」
「ううん、意外だったけど、でもこういう店の方が好きよ、気取ってないし、哲平くんの普段が分かるし」
「ねぇ、その哲平クンっていうのどうかなー?哲平でいいよ・・・もう俺たちは付き合っているんだから・・」とハニカミ気味に哲平は言った。
「そうね!じゃぁ私の事もチ・ア・キって呼んで、ネ!哲平」と千秋はおどけるように言うと
「おう、分かった千秋!」と二人は顔を見合わせて笑った。
 久しぶりに哲平とこうして二人きりで会えた事、また哲平が年下ということも忘れて
自分が哲平の前ではすごく素直な気持ちでいられる事に千秋は幸せを感じていた。

もっとゆっくりしたかったが、哲平が遅いシフトに入らなければならないため、千秋は哲平の車で先に送ってもらった。自宅前で「哲平、仕事頑張ってね」車のドアに手を掛けたと時、肩をつかまれいきなりキスをされた。
フロントガラス越しの街灯の明かりで哲平の顔がぼんやり見えた。
「クスッ」「何?」「やっぱり哲平の睫毛って長いネ」「じゃぁもう一度、この睫毛攻撃を受けてみろ!」と子どもっぽく言って2度目のキスをしてきたが、それは優しいキスだった。
そして、それはすごく長く感じた・・。

哲平が仕事場へ行き、千秋は自分の部屋へ戻ると同時に携帯のメールの着信音がなった。
てっきり哲平からだと思い何気に携帯を見ると・・・・あの上司からだった。
 「えっ?」千秋は迷った。
そのまま削除するか、見るかを・・。

 

テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

等身大の影 vol.4

あのクリスマスの夜以来、千秋と哲平は落ち着いて二人きりで会う機会がなかなかなかった。千秋は、夜になり自分の部屋で哲平からのメールに返信する事がこの頃の唯一の楽しみだった。 職場では事務所に用事で時々入ってくる哲平と、目での挨拶とも言えない合図のようなものが、千秋をまるで学生の頃のようにときめかせていた。
 その頃千秋はあの上司からの事など全く忘れていた・・・・。

 1月も終わりに近づき、やっと仕事も落ち着いたある日哲平から食事でもと誘われた。
二人が行ったのは意外にも哲平が良く行く「定食屋」だった。
店は会社帰りのサラリーマンや、学生などで結構混んでいた。
 
「久しぶりなのに、もっとロマンチックな店の方がよかった?」
「ううん、こういう店の方が好きよ、気取ってないし、哲平くんの普段が分かるし」
「ねぇ、その哲平クンっていうのどうかなー?哲平でいいよ・・・もう俺たちは付き合っているんだから・・」とハニカミ気味に哲平は言った。
「そうね!じゃぁ私の事もチ・ア・キって呼んで、ネ!哲平」と千秋はおどけるように言うと
「おう、分かった千秋!」と二人は顔を見合わせて笑った。
久しぶりにこういう暖ったかい気持ちになったこと、また哲平が年下ということも忘れて
自分が今すごく素直な気持ちでいることに千秋は幸せを感じていた。

「哲平、前に話していた夢って何?」
「あーあれ・・」と言うと急に真面目な顔になり哲平は言った。
「俺が以前勤めていた精密器機の会社の事言ったよね。そこにいた先輩が今会社をしていて、そこで一緒にしないか、って事だよ」
「へぇー、そんなんだ。その会社って?」
 哲平はあまり詳しく話さない方がいいと思った。哲平の先輩は会社を辞めた後、アメリカの企業からヘッドハンティングされ、現在は独立してアメリカで会社を興してしいるのだった。
そこは特許を取得した技術で、世界にでも打って出るような可能性を持っていた。
「・・・同じ精密機械の小さな会社さ」
「でも、哲平の夢はその会社でバリバリ働く事なんだー。」
「まっ、そういうところかな」と笑ってみせた哲平。
 哲平は、千秋と付き合うようになってからずっと悩んでいた。
 自分の夢を追い続けてきて、腰掛けのつもりで今の宅配会社の臨時社員でいるが、
それでもそこには「夢」があったから何とか過してきた。
 しかし、そこで千秋という女性に出会った事、また付き合うようになった事は全く予想外だったからだ。
  
 やがて2月に入りバレンタインまであと1週間という日、千秋は哲平に手作りのチョコを送ろうと会社帰りに本屋へ立ち寄った。
本棚にはバレンタイン特集のコーナーがあり、その1冊を手に取り見ていた時、携帯のメールの着信音が鳴った。てっきり哲平からだと何気に携帯を見ると・・・・あの上司からだった。
 「えっ?」千秋は迷った。そのまま削除するか、見るかを・・。


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等身大の影 vol.4

・・・・バックの中、ほのかに光る携帯の液晶に表示されたのは、番号だけ。
しかしそれは、はっきりと見覚えのある番号だった・・・・。

あの上司の電話番号。登録からは消されたデーター、しかしハッキリと覚えている番号。
掛かってくるのを待つ事が多かった番号。こちらからは掛けない番号。
でも、ハッキリと覚えていた。
ブルブル・・ブルブル・・・
(まるで私の胸が震えているような) 

その日を境に千秋と哲平は職場でも良く話すようになり、以前にも増して二人はお互いの事を身近に感じるようになっていった。
そしてあの上司からの電話の事も忘れていた。

・・・・そしてクリスマス。
千秋の希望で二人は地元の海辺に出かけた。
そこにはイルミネーションのオブジェがバックの砂の山に「光の芸術」を造りだしていた。
二人はその壮大さに会話も忘れ見とれていた。
 車を降り歩き出す二人。
「きれい・・」「すげー・・・」
並んで歩いていた。手をつなぐのも自然だった。
しばらく見とれていた千秋は背後に哲平を感じていた。
ギュっと突然後ろから抱きしめられた。「・・哲平クン」「しーっ、黙ってこのまま」
あったかかった。哲平のぬくもりを首に感じていた。哲平の大きな体で包み込まれ
この時間がずっと続くような、いや続けばいいなと千秋は思った。
 そのうち哲平の手が肩を抱き、そしてキスをした。それはすごく自然だった。
哲平との初めてのキス。それはホッとするような、ぬくもりのあるキスだった。
「哲平クン・・あたし・・」と言おうとすると人差し指で口をふさがれた。
「こういう時って、男の方が先に話し出すもんだよ」と笑って言う哲平。
「初めて会った時から、こうなるような予感があったんだ、俺」
「ねぇ、前にも言ってたけど、哲平クンの夢って何?」
「それはもう少し俺を知ってもらってから・・・という事で」と言うか言わない
かの間をおいて哲平は唇を合わせてきた。
少し見上げる感じで、初めてこんなに近くで哲平を見た。
まつげが案外長いんだ。と妙に感心してクスっと笑うと「何?なんかおかしい?」
「ううん、哲平クンって背が高いんだなと思って」
「なんだ、それ・・ハハ」
哲平は笑った後急に真面目な顔になり「千秋さん、マジで俺と付き合ってほしいんだ」
「返事はさっきのキス・・・のつもり」

優しく肩を抱かれ、月明かりの下、暗闇に浮かぶイルミネーションをいつまでも二人で見ていたいと千秋は思った。

年末は宅配業界はかき入れ時で、皮肉にもクリスマスを境に哲平とはゆっくりと話す暇もないほどあわただしかった。
正月も休日返上で出勤し、哲平はシフトも変則的で、気がつけば1月も半ばだった。

迫るイベントはバレンタイン。付き合い始めての最初の「恋人達のイベント」だった。

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等身大の影(もう一つのvol4)

・・・・バックの中、ほのかに光る携帯の液晶に表示されたのは、番号だけ。
しかしそれは、はっきりと見覚えのある番号だった・・・・。

あの上司の電話番号。登録からは消されたデーター、しかしハッキリと覚えている番号。
掛かってくるのを待つ事が多かった番号。こちらからは掛けない番号。
でも、ハッキリと覚えていた。
ブルブル・・ブルブル・・・
(まるで私の胸が震えているような)

「千秋さん、電話・・出ないの?」と不思議そうに言う哲平。
「・・あっ、いいの・・旅行中の両親からだから・・又後でこっちから掛けるし」
「そう・・」
「・・で、どうする哲平くん!クリスマスは?」とあわてて話題を変えた。
「千秋さんに任せるよ!俺は」
「よーし!高くつくぞぉー!私は」「お手柔らかに・・ハハ」
と、多分不自然なくらい明るく振る舞った千秋だった。
「哲平クン、今日はどうもありがとう。なんかホッとした気分」
「別に何もしてないっすよ、俺」
「じゃ、またクリスマスでね!」
「OK!おやすみなさい千秋」さん」「おやすみなさい」
通りに出て大きく手を振る哲平を見て、千秋は複雑な気持ちで家路についた・・・。
 
 その夜、誰もいない家に帰り灯りもつけずに着信歴を見つめる千秋。
真っ暗な部屋で、携帯のほのかに光る画面を見つめ、ボタンを押そうとする指が
止まる。
「何がしたいんだろう・・私、今さら」
「何を期待してるんだろう・・」
 そのまま指は着歴を消し、そして携帯を閉じた。
なかなか眠れない夜だった・・・。

クリスマスの1週間前千秋は哲平にメールを送った。
24日のイブは何かおいしいものを食べに行こう、というものだった。
返事はしばらくして返ってきた。短く「OK!」だった。




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天空のロズウェル

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