起・承・転・結 Self Novel
「男と女」をテーマにしたNovel Blogです。日常のどこにでもありそうな「等身大」をテーマにした老若男女が織りなすドラマをオリジナル小説で。

等身大の影 vol.4b

1月はあっという間に過ぎ、2月に入いりいよいよバレンタインデー。
色々考えたが千秋は最初のバレンタインはオーソドックスに手作りのチョコレートを渡す事に決めていた。ハート型だが少し大人の味のビターチョコだった。
 朝出勤して哲平の部署へ行くと、夜勤の人に急病が出た為、哲平が急遽夜のシフトになったと聞いた千秋は、手渡し出来ずに残念だったが、手紙をチョコレートに添え哲平のロッカーに入れておいた。
 哲平と出会えた事、クリスマスの夜の事、自分が今すごく充実した気持ちでいることなど
素直な気持ちでありののまま綴った手紙と一緒に・・。
夜哲平から「チョコと手紙ありがとう。 俺も千秋と同じ気持ちだよ。
ホワイトデーをお楽しみに!」とメールが届いた。
学生時代に戻ったようで「こんなワクワクしたのは久しぶり」と千秋は少々うれしくなった。
 少し物足りないバレンタインだったが、千秋は幸せな気持ちで一杯だった・・。


 3月に入りいよいよ今日は14日、そうホワイトデー。
「今日は俺がご招待するよ、とっておきの店でネ」と哲平に言われ千秋は「うん、楽しみにしてるね」と仕事もそぞろになるほど夜が待ち遠しかった。 

・・・・二人が行ったのは意外にも哲平が良く行く「定食屋」だった。
店は会社帰りのサラリーマンや、学生などで結構混んでいた。
呆気にとられた顔していた千秋を見て、
「ホワイトデーなのに、もっとロマンチックな店の方がよかった?」
「ううん、意外だったけど、でもこういう店の方が好きよ、気取ってないし、哲平くんの普段が分かるし」
「ねぇ、その哲平クンっていうのどうかなー?哲平でいいよ・・・もう俺たちは付き合っているんだから・・」とハニカミ気味に哲平は言った。
「そうね!じゃぁ私の事もチ・ア・キって呼んで、ネ!哲平」と千秋はおどけるように言うと
「おう、分かった千秋!」と二人は顔を見合わせて笑った。
 久しぶりに哲平とこうして二人きりで会えた事、また哲平が年下ということも忘れて
自分が哲平の前ではすごく素直な気持ちでいられる事に千秋は幸せを感じていた。

もっとゆっくりしたかったが、哲平が遅いシフトに入らなければならないため、千秋は哲平の車で先に送ってもらった。自宅前で「哲平、仕事頑張ってね」車のドアに手を掛けたと時、肩をつかまれいきなりキスをされた。
フロントガラス越しの街灯の明かりで哲平の顔がぼんやり見えた。
「クスッ」「何?」「やっぱり哲平の睫毛って長いネ」「じゃぁもう一度、この睫毛攻撃を受けてみろ!」と子どもっぽく言って2度目のキスをしてきたが、それは優しいキスだった。
そして、それはすごく長く感じた・・。

哲平が仕事場へ行き、千秋は自分の部屋へ戻ると同時に携帯のメールの着信音がなった。
てっきり哲平からだと思い何気に携帯を見ると・・・・あの上司からだった。
 「えっ?」千秋は迷った。
そのまま削除するか、見るかを・・。

 

テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

等身大の影 vol.4

あのクリスマスの夜以来、千秋と哲平は落ち着いて二人きりで会う機会がなかなかなかった。千秋は、夜になり自分の部屋で哲平からのメールに返信する事がこの頃の唯一の楽しみだった。 職場では事務所に用事で時々入ってくる哲平と、目での挨拶とも言えない合図のようなものが、千秋をまるで学生の頃のようにときめかせていた。
 その頃千秋はあの上司からの事など全く忘れていた・・・・。

 1月も終わりに近づき、やっと仕事も落ち着いたある日哲平から食事でもと誘われた。
二人が行ったのは意外にも哲平が良く行く「定食屋」だった。
店は会社帰りのサラリーマンや、学生などで結構混んでいた。
 
「久しぶりなのに、もっとロマンチックな店の方がよかった?」
「ううん、こういう店の方が好きよ、気取ってないし、哲平くんの普段が分かるし」
「ねぇ、その哲平クンっていうのどうかなー?哲平でいいよ・・・もう俺たちは付き合っているんだから・・」とハニカミ気味に哲平は言った。
「そうね!じゃぁ私の事もチ・ア・キって呼んで、ネ!哲平」と千秋はおどけるように言うと
「おう、分かった千秋!」と二人は顔を見合わせて笑った。
久しぶりにこういう暖ったかい気持ちになったこと、また哲平が年下ということも忘れて
自分が今すごく素直な気持ちでいることに千秋は幸せを感じていた。

「哲平、前に話していた夢って何?」
「あーあれ・・」と言うと急に真面目な顔になり哲平は言った。
「俺が以前勤めていた精密器機の会社の事言ったよね。そこにいた先輩が今会社をしていて、そこで一緒にしないか、って事だよ」
「へぇー、そんなんだ。その会社って?」
 哲平はあまり詳しく話さない方がいいと思った。哲平の先輩は会社を辞めた後、アメリカの企業からヘッドハンティングされ、現在は独立してアメリカで会社を興してしいるのだった。
そこは特許を取得した技術で、世界にでも打って出るような可能性を持っていた。
「・・・同じ精密機械の小さな会社さ」
「でも、哲平の夢はその会社でバリバリ働く事なんだー。」
「まっ、そういうところかな」と笑ってみせた哲平。
 哲平は、千秋と付き合うようになってからずっと悩んでいた。
 自分の夢を追い続けてきて、腰掛けのつもりで今の宅配会社の臨時社員でいるが、
それでもそこには「夢」があったから何とか過してきた。
 しかし、そこで千秋という女性に出会った事、また付き合うようになった事は全く予想外だったからだ。
  
 やがて2月に入りバレンタインまであと1週間という日、千秋は哲平に手作りのチョコを送ろうと会社帰りに本屋へ立ち寄った。
本棚にはバレンタイン特集のコーナーがあり、その1冊を手に取り見ていた時、携帯のメールの着信音が鳴った。てっきり哲平からだと何気に携帯を見ると・・・・あの上司からだった。
 「えっ?」千秋は迷った。そのまま削除するか、見るかを・・。


テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

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