起・承・転・結 Self Novel
「男と女」をテーマにしたNovel Blogです。日常のどこにでもありそうな「等身大」をテーマにした老若男女が織りなすドラマをオリジナル小説で。

等身大の影(もう一つのvol4)

・・・・バックの中、ほのかに光る携帯の液晶に表示されたのは、番号だけ。
しかしそれは、はっきりと見覚えのある番号だった・・・・。

あの上司の電話番号。登録からは消されたデーター、しかしハッキリと覚えている番号。
掛かってくるのを待つ事が多かった番号。こちらからは掛けない番号。
でも、ハッキリと覚えていた。
ブルブル・・ブルブル・・・
(まるで私の胸が震えているような)

「千秋さん、電話・・出ないの?」と不思議そうに言う哲平。
「・・あっ、いいの・・旅行中の両親からだから・・又後でこっちから掛けるし」
「そう・・」
「・・で、どうする哲平くん!クリスマスは?」とあわてて話題を変えた。
「千秋さんに任せるよ!俺は」
「よーし!高くつくぞぉー!私は」「お手柔らかに・・ハハ」
と、多分不自然なくらい明るく振る舞った千秋だった。
「哲平クン、今日はどうもありがとう。なんかホッとした気分」
「別に何もしてないっすよ、俺」
「じゃ、またクリスマスでね!」
「OK!おやすみなさい千秋」さん」「おやすみなさい」
通りに出て大きく手を振る哲平を見て、千秋は複雑な気持ちで家路についた・・・。
 
 その夜、誰もいない家に帰り灯りもつけずに着信歴を見つめる千秋。
真っ暗な部屋で、携帯のほのかに光る画面を見つめ、ボタンを押そうとする指が
止まる。
「何がしたいんだろう・・私、今さら」
「何を期待してるんだろう・・」
 そのまま指は着歴を消し、そして携帯を閉じた。
なかなか眠れない夜だった・・・。

クリスマスの1週間前千秋は哲平にメールを送った。
24日のイブは何かおいしいものを食べに行こう、というものだった。
返事はしばらくして返ってきた。短く「OK!」だった。




テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

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